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"Gloria" Diary/グローリア日記 2006(2)

2006年11月12日(日曜日)に、宇都宮市内、 「栃木県総合文化センター」で 「グローリアアンサンブル&クワイアー Vol.14」 という演奏会が催されます。こちらに演奏会案内を掲載しています。 今年はモーツァルト(W.A.Mozart)生誕250周年記念の年。それにちなみ、「グローリア」でもモーツァルトの「ミサソレムニス(Missa Solemnis K337)」と「ヴェスペレ(Vesperae K339)」を取り上げます。私の好きな「全面古典派路線」であります(^^)。私は毎回この演奏会にチェンバロ・オルガンなどの鍵盤奏者として参加しているのですが、果たして、無事に演奏会本番を迎えられるのか?以下をご覧ください・・・

ご注意:
1.テキスト量が膨大になってきたので、以下のように分割しました。


2006年3月19日 暴風に遮られた合唱練習見学

今日は「グローリア」合唱隊の第1回練習日。私は器楽隊であり本来は関係ないはずなのだが、通奏低音奏者は単に自分のパートにとどまらず広く全体を見る必要がある、というのが私の考えなので、見学しに行くことにした。更にこの練習会が終わった後には宴会があるということで、そちらも無視できないのだ(笑)

さてこの日、日本の東海上には発達した低気圧があって東に進んでいた。中心気圧は985hPa。台風並みである。東京では午後に30km/sec.以上の最大瞬間風速を記録したらしい。私は練習会場に向かうため、電車に乗ったのだが、発車して20分ぐらい経過したらこの電車、止まっちまったのです(^^;)。「ただ今風速計が規定値を上回る風速を観測したため、列車の運行を中断しております」というアナウンスが入る…ドツボであります。約30分後、列車は運行を再開した。しかし依然としてのろのろ運行である。そんなこんなで予定よりも約2時間ほど遅れて練習会場に到着。結局第1回の練習を見学するという当初のもくろみはほとんど果たせませんでした。え?最初から練習よりも宴会だけを目的にしていたのだろう?その件に関してはノーコメントであります。無論宴会では飲みましたが(^^;)

K先生からは「管弦楽側は完全に人員を確保した」というお話があった。ただ、練習日程などは未だに不透明な部分が多い。去年までは管弦楽練習は 6月に始まったが、今年は若干始動が遅くなる可能性が高い。しばらくは合唱練習を偵察するということが続きそうである。そのほか、K先生からは「特殊ミッション」の指令を受けた。ただしこの特殊ミッションに関しては、また別の機会に記すことにします。(^^;)

宴会を終わって帰宅。列車のダイヤはまだ乱れていた。自宅到着は23:50。あーしんど。


2006年6月3日 再び合唱練習見学

昨年までは合奏合唱合同練習はおおむね6月に始まっていたが、今年はいささか事情が異なり、合同練習開始時期は若干遅くなりそうだ。私は未だに管弦楽の練習について何も知らないし、自分が担当する楽器のパート譜もまだ貰っていない状況だ。現在、管弦楽を含めた全体の状況はいったいどうなっているのか?これを把握すべく私はこの日の午後、合唱練習会場へ出かけた。

すでに合唱練習は始まっていた。演目は"Sancta Maria (KV.273)"。一週間後に行われる「県の合唱祭」にて披露する曲だと聞く。演奏形態はピアノ伴奏付きであって管弦楽を用いない、ということで私はあいにくこの曲にはタッチしてない。随所で演奏が中断され、K先生の厳しい指示が飛ぶ。

数十分この曲の練習が行われた後、引き続いて「ヴェスペレ」(Vesperae)第一曲の"Dixit"の練習が始まる。こちらの曲はむろん私も通奏低音鍵盤として参加する曲である。私は練習風景を注意深く眺め、K先生の指示を聞いていた。以下にその感想を書いてみる。かなり独断と偏見が混じっています。(^^;)

「ヴェスペレ」(Vesperae)の練習が始まったのはごくごく最近、先週からだそうで、それにしては音はよくとれていたようだ。ただ皆音取りが完璧、という状態ではないようで、総じて「音符を声に変換する」という状態だと感じた。各々の音に関しても若干手探り状態という雰囲気のところがあり、音の立ち上がりは良くないし、音の緊張感も不足気味である。休符になるとほっとするのか本当に緊張の糸を切って休んでしまう人もいる。K先生曰く、「音にスピード感が無い」。おそらく各々の音符の音程や発声タイミングに対する自信がまだ確立されていないからだろう。まだゴールまでの道のりは長いな、と感じさせる。むろん練習が始まってまだ間がないという点は考慮しなければならない。これから進歩するだろうし、日程をみてもゴールはまだまだ先(5ヶ月後)なのだ。

K先生曰く「日常生活から離れてください」「この曲は思い切りハイにならないと、やっていけないと思いますよ」そして、「テンションを高く保ち続けることが必要で、しかも、これは難しいことです」。練習合間に私とも話をしたのだが、K先生がおっしゃるには「粘着質的な、しつこいフレージングが多い」。たしかに、カデンツ進行を見るとなんだか無理矢理引き延ばしているような部分が少なくない。集中力を持続するのは大変そうだ。この「しつこさ」は今後も注目する必要がある。

K先生の指示に関して、私から一点補足。ヴェスペレ第1曲"Dixit"の12小節目、あるいは14小節目の2拍目を長く伸ばさない、という指示があったが、それに関する補足である。じつはこれは理由がはっきりしている。

[From the 11th measure of "Dixit"(Dixit003.gif, 21.2 KB)]

(Aが前打音。Bが解決した主要音を示す)

これらの小節、和声的に見ると「解決進行」(motion of resolution)をしているのだ。第1拍目は前打音(appoggiatura)であり、第2拍目はそれに対する主要音であると解される。前打音と、それに続く主要音では、前打音を強く出し、主要音は弱めにする。これはバロック音楽から古典派にかけて非常によく見られる「溜め息音型」と呼ばれる動きと同じもので、一種の「定石」なのである。この「定石」は覚えておいて損はない。

なお、管弦楽の練習日程についても本日把握することができた。また、自分が担当するオルガンパートの楽譜もこの練習で頂戴した。やはり昨年までと比べると、管弦楽を含めた練習の日数は少ないようだ。少ない合同練習で最大限の効果が出るようにしなければならない。いろいろ工夫が必要なようだ。


2006年7月27日 音痴は歌には手を出すな

私はオルガン担当。単純に考えればオルガン奏者の私が合唱練習に参加する必要はないように思われる。しかし、オルガン、チェンバロ等鍵盤楽器奏者が通奏低音(continuo)を担当する場合、スコア(管弦楽総譜)を用いてあらかじめ楽曲全体を把握しておくことは是非行っておかなければならないことである。この「あらかじめスコアで楽曲を分析しておく」という作業は、指揮者が行うべき作業に似た要素がある。演奏する楽曲が合唱を含む場合、合唱パートを歌ってみるのも有効かもしれない…。

私はこのように考え、この日の合唱練習に参加することにした。しかし直ちに難関にぶつかった。声楽は器楽と比べると格段に譜読みが難しい。器楽では音符だけを読めば良いのだが、声楽では音符と同時に歌詞を読まなければならないのだ。初見でも対応できるかと思ったが、見通しは甘かった。

教訓・・・音痴は安易な気分で歌には手を出すな。(自爆)


2006年10月8日 合唱合奏合同練習

今年の「グローリア」は昨年までと体制が異なり、合唱と管弦楽の合同練習が実施される回数は、昨年までと比べると非常に少ない。管弦楽も合唱も各々別々に練習をおこなう日程が中心だ。私は実はこれまで合唱だけではなく、管弦楽側の練習にも数回参加したが、そのときの印象は、「管弦楽側は正直に言って楽曲を把握できているとは言い難い」というもので、本日の練習が果たして効果的に実施できるかどうか、実は不安な面が多かったのだ。

しかし、どうやらその心配はあまり必要なかったようだ。確かに、演奏会本番の指揮者と管弦楽が対面するのは本日が最初である。最初1回通してみたときには管弦楽側へ様々な指示が飛んだ。しかし、同じ曲を再び繰り返すときにはその指示は大部分反映された演奏になっている。どうやら今年の管弦楽団は指揮者の注文に対応する能力は持っているらしい。

とはいえ、合唱練習を何回も見学し、管弦楽総譜、更には歌詞なども多少は調べた私から見ると、管弦楽側が曲を一層咀嚼することで演奏全体が向上する余地というものが依然として残っているようにも感じる。管弦楽側の人々にはもう一度スコアの研究、特に歌詞と音符の関連に関する研究をお願いしたいところだ。

本日の練習で、オルガンに関しても具体的な宿題事項が判明した。それはミサソレムニス(Missa solemnis)中の"Agnus Dei"である。今回演奏するミサソレムニス(Missa solemnis), ヴェスペレ(Vesperae)ではオルガンは全て通奏低音だが、この曲だけは例外。オルガンが通奏低音の役割を離れ、ソプラノ独唱、木管楽器と緊密なアンサンブルを構成する。

[From the beginning of "Agnus Dei K.337"(Agnus_Dei_01.gif, 19.6 KB)] [From the 5th measure of "Agnus Dei K.337"(Agnus_Dei_02.gif, 16.3 KB)]

このような形態の曲では、個人的な練習以上に、他のパートとの緊密な連携が重要だ。特に以下の部分では、オーボエと完璧なタイミングで同期を取らなければならない。

[From the 14th measure of "Agnus Dei K.337"(Agnus_Dei_03.gif, 17.5 KB)]

しかし、此が簡単ではないのだ。直前にソプラノソロが存在する。恐らくこのソプラノ独唱は微妙にテンポを揺らすだろう。オーボエとオルガンの6度平行は、ソプラノソロを受けて自然なタイミングで行われる必要があるのだ。ソプラノ独唱者が入らないと、此はどのような結果になるか分からない。この点はソプラノ独唱者が練習に加わるまでの宿題、と言うことになりそうだ。


2006年11月4日 最後の合唱合奏合同練習

10月28日、11月4日と、本番直前の2週間連続で合唱合奏合同練習が実施された。実は今まで、指揮者が希望する速度に管弦楽側(特にヴァイオリン群)が追従できず、指揮者と管弦楽側でテンポに関する思惑に食い違いが存在し、指揮者側が妥協していたのだが、弦楽器群は最後に追い込みをかけてどうやら指揮者の要求する速度に追いついた模様。11月4日の練習では指揮者側と管弦楽側でテンポに関する意志は一応統一された。これにより何とか本番には指揮者の要求するテンポで演奏が実現できることになったのである。

とはいうものの、全般的には今一歩仕上がりが不足しているという印象だ。実は我がアンサンブル能力の限界のせいか、以下の一見なんでもない曲で、低音弦楽器とオルガンのタイミングが合わないのだ。

["Laudate Dominum" in K.339(Laudate_Dominum_01.gif, 20.0 KB)]

10月8日に記載した「ソプラノ+木管+オルガンアンサンブル」に関しても、すりあわせが十分出来たとは言い難い。等々、種々の宿題を残したまま、練習の全日程が終了。結局、これらの「宿題」は、残る2回の演奏機会-ゲネプロと本番-で解決しなければならないことになったのである。(-_-;)ウウム


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