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前回の話はチョット重かったので今回は軽く流します(^^)。 「日本人に馴染みのある、星に関する歌」を探すことから始まり、 全く脈絡無く話が展開します。前回のような仰々しい結論は期待しないでください(笑)。
では始めます。「日本人に馴染みのある、星に関する歌」をピックアップしてみます。 まず、 筆頭は、 こいつか?
ご存知、 「きらきら星」です。 (そう言えばそんな名前のサイトがあったな(^^)>M○○○さん) ピアノ屋にはモーツァルトの変奏曲でもおなじみです。 上の楽譜、 左手に「アルト譜表」を用いているところが、 「オタク」っぽくて良いでしょ☆\(--;)BAKA
この楽譜、ご覽の通り、原題は"Oh! Vous dirai-je, Maman (ねえ、ママ、聞いてよ)"というのだそうです。 フランスのシャンソンだったとのこと。モーツァルトの変奏曲でも、 原題は、 " 'Oh! Vous dirai-je, Maman'(「ねえ、ママ、聞いてよ」)による変奏曲"です。 英語の"Twinkle twinkle little star"という歌詞が付き、 童謡になったのは、その後の話です。
さて、タイトルからお察しのように、 今回の話題は「宮澤賢治」・・・岩手県が生んだチョー有名詩人、 童話作家、 ただし生前の評価は「生徒に自作劇や自作音楽を演じさせ、 田んぼのど真ん中にひまわりを植えたりする変人農民教師、 変人農民科学者」・・・であります。
宮澤賢治の「星」に対する関心が並大抵の物ではなかったことは、 代表作が「銀河鉄道の夜 / 銀河鐵道の夜」であることからも分かります。 「銀河鉄道の夜」には様々な星・星座等が登場します、 日本では見ることが出来ない「南十字星」「石炭袋星雲」「ケンタウルス座」「マジェランの星雲」 更には、日本でもおなじみの星座「こと座」「白鳥座」「さそり座」・・・ どれも、天文ファンにはおなじみの名前ばかりです。
更に、初期の童話に「双子の星」というのがあります。 (実はこの初期童話「双子の星」が、 「銀河鐵道の夜」 で引用されていることも宮澤賢治ファンには有名^^;)
一方で、 宮澤賢治は、 当時の東北地方の人間としては破格の「クラシック音楽ファン」でもありました。 彼はベートーヴェンの「田園」をこの上なく愛し、 学校の生徒相手にレコード音樂鑑賞会などを催したりしました。 「銀河鐵道の夜」には「ヅヴォルジヤク作の『新世界交響樂』」が登場します。 音楽そのものを題材にした童話、 「セロ(Cello)彈きのゴーシュ」という名作もあります。(この中に登場する「第六交響曲」とは、おそらく直前に書いた「ベートーヴェンの第六交響曲『田園』」のことでしょう。) 賢治自身が「チェロ(Cello)」を所有していたのも有名な話です。 (ただしその腕は、「かの『セロ弾きのゴーシュ』の数十倍下手くそ也」 との証言をどこかで読んだことがあります^^;)
こんなわけなので、宮澤賢治作の星に関する曲があっても良さそうだ、 と思われるでしょう。 実際、 あるのです。 宮澤賢治は自分の童話や創作劇に向けて、 いくつかの「作曲」をしています。 多くは単旋律、それも凡庸な旋律の歌なのですが、 ただ1曲、 「金剛石」のような美しい旋律の歌があります。 これが、 「日本人が作曲した星・星座に関する歌」として、 私が筆頭にあげたい、 「星めぐりの歌」です(※脚注1)。 その楽譜を以下に披露します。 (宮澤賢治は1933年に亡くなっており、 死後50年以上経過しているので、 著作権上の問題はありません)
この歌は、初期童話「双子の星」にてその歌詞が公表され、 「銀河鐵道の夜」でも「ケンタウル祭」という星の祭りのBGMとして想定されています。 よく見ると1番と2番で音符が微妙に変えてあり、 それなりに歌いやすくするような配慮はしているようです。 でも、 ごらんのとおり、 歌詞を付けるとはなはだ歌いにくいッス(^^;)。しかも、 "Allegretto"というと、 かなり速いぞ。 舌が回らんですわい(^^;)。
しかし、その旋律そのものを見て下さい。何という美しい旋律でしょうか。 よく見ると、 この旋律は「五音音階(Pentatonic)」です。 その中でも最もポピュラーな「ヨナ抜き長音階」です (幹音7音からなる西洋音階の4番目の音と7番目の音を省いているため 「ヨナ抜き」というのです)。
この音階は、半音を一切含まないため、非常に明るい雰囲気を与えます。 耳に易しく、 また、 心に深く浸みいる音階です。 イギリス、 アイルランドの民謡、 その系列に屬するフォスター(Stephen Foster)の作品などに大変頻繁に登場します。
どさくさ紛れに記した一番下の民謡は、 韓國(※脚注2)・京畿道(キョンギド)の民謡「アリラン」です。 意外や意外、 スコットランドと韓國が同じ音階構造であったとは・・・というよりも、 それだけ「ヨナ抜き音階」が我々の親しみやすい普遍的な音階であることの証(あかし)でしょう。
ドヴォルジャーク(Antonin Dvorak(※脚注3))がこの音階の使い手の名手であったことも有名です。 祖国チェコの民謡音階も、 どうやら「ヨナ抜き音階」だったらしいですし、 アフリカ系アメリカ人のいわゆる「霊歌」にも「ヨナ抜き音階」は非常に多い。 ドヴォルジャークはこうした民謡をすくい上げ、 芸術音楽の域まで昇華させました。
その代表作が、皆さんご存知、そして、宮澤賢治が「銀河鐵道の夜」で登場させた「新世界からの交響曲」(Symphony No.9 "From the new world"op.95, e-minor ( e-moll ))です。 この曲(特に、 その第2楽章の主題)を「ヨナ抜き」の格好の例の引き合いに出す手もあるのですが、 それでは音楽ヲタクとしてあまりにも「芸」がなさすぎる(笑)ので、 ドヴォルジャークがアメリカから祖国チェコに帰国する時期に作曲された、 「チェロ協奏曲」(Violoncello concerto, op.104, B-minor ( h-moll ))から引用してみます。 この曲は、 アメリカ的な要素が少ない曲、 とされていますが、 ヨナ抜き音階と転調が組み合わされた見事な例を見付けました。
あれれ、話がドヴォルジャークに飛んでしまった。宮澤賢治の話に戻します。
さて、このように「星めぐりの歌」を構成する「ヨナ抜き音階」が如何に我々にとってなじみ易い物であるかを触れてみました。
「ヨナ抜き音階」そのものをほぼそのまま上行下降させる形で 「星めぐりの歌」は作られています。 そして全体が付点リズム。 私としてはこれをもう少しゆっくりのテンポにしたい。 すると、 コラールのように数小節単位で同じ感覚で停止(フェルマータ)する・・・明るく、 印象深く、 また、 歌詞の内容と相まって幾分、 「宗教的」な感覚すら抱かせる・・・そんな歌です。
この歌を含む童話、 「双子の星」が作られたのが1918年、 詩集、 「春と修羅」に着稿したのが1922年。 このころ、 自然科学の世界では革命的な「事件」が起きていました。 宮澤賢治が9歳の年の1905年、 かの有名な物理学者アインシュタイン(A. Einstein)(※脚注4)が、 「特殊相対性理論」「光量子理論」「ブラウン運動論」の3論文(※脚注5)をひっさげて、当時の物理学界に鮮烈にデビューしたのです。 さらに、 宮澤賢治が20歳になった1916年は、 アインシュタインが「一般相対性理論」に関する論文を出版した年でもあります。 それと並行して、 1907年には、 ロシアの科学者、ミンコフスキー(Minkowski)が、 アインシュタインの相対性理論を元に、 「我々の世界は、『縦・横・高さ』に『時間』に関する座標軸を加えた、 いわゆる『四次元世界(Veirmensionale Welt(獨), Four-dimesional World(英))』である」 という趣旨の論を展開し、 アインシュタインもこれに同調していました。 ちなみに宮澤賢治が「春と修羅・第1集」の制作を開始したとされる1922年は、 アインシュタインが来日した年でもあり、 日本中で「ソータイセイ(相対性/相對性)の原理)」「アイタイセイ(相対性/相對性)の原理(^^)」 という言葉が流行語になった年でもあります。
自然科学を専門科目として学び 職業としつつあった宮澤賢治が、これらのニュースに接し 深い影響を受けたことは容易に想像できます。 このことは、 アインシュタイン来日の2年後、 1924年(大正13年)に発刊された詩集、 「春と修羅・第1集」の序文を見ても分かります。
[最初省略...]
これらは二十二箇月の
過去とかんずる方角から
紙と鑛質インクをつらね
ここまでたもちつゞけられた
[...中略...]
かげとひかりのひとくさりづつ
そのとほりの心象スケッチです
[...中略...]
記録や歴史、あるひは地史といふものも
それのいろいろの論料といっしょに
(因果の時空的制約のもとに)
われわれがかんじてゐるのに過ぎません
[...中略...]
すべてこれらの命題は
心象や時間それ自身の性質として
第四次延長のなかで主張されます
大正十三年一月廿日 宮澤賢治
難解な表現ではありますが、 「過去とかんずる方角」・・・時間を「座標軸」として捉えています。 「現在は、長い『時間座標軸』を切り取った『一点』である」という視点を かなり明白に読みとることができます。 そして、 序文の最後には「すべてこれらの命題は・・・第四次延長の中で主張され」る ・・・この序文全体が、 「時間軸の上の任意の点」で成り立つ命題であることを主張しています。 1924年は、 かの代表作「銀河鐵道の夜」の制作を開始した年でもありました(※脚注6)。 この「銀河鐵道の夜」にも「幻想第四次空間」という単語が出てきます。
私は、○○年前(※脚注7) 大学卒業の頃に宮澤賢治の「洗礼」を受けました。 一応、 工学部卒(ということになっている^^;)私ですから、 アインシュタイン、 ミンコフスキーの名は無論知っており、 特殊相対性理論の公式のいくつかは今でも頭の中に記憶しています。
こんな私ですから、 宮澤賢治に出会ったときにはすぐに「染まり」ました。
賢治が「春と修羅・第一集」の序文で示した「過去と感ずる方向から、第四次延長へ」という時空認識には強い影響を受け、 今も尚私を強く惹きつけます。
当時の私は、
ちくま文庫の宮澤賢治全集をまとめ買い(!)し、
・「ポラーノの広場」
・「ペンネンネンネン・ネネムの伝記」「グスコンブドリの伝記」(それぞれ、
『グスコーブドリの伝記』の最初期形の草稿、
および完成目前の段階の草稿)
・「なめとこ山の熊」
等は何回も読み返しました。
「手紙 四」という作品は、
初期童話「双子の星」と「銀河鐵道の夜」を別の角度から結びつけ、かつ、「永訣の朝」・・・妹を亡くしたときに詠んだ有名な詩・・・にも直結する小品で、
これにも魅了されました。
作者の晩年に作られた文語詩には「春と修羅」など、
作者の過去の詩の改作が出ています。
文語詩で賢治は自分の「第四次延長」を停めようとしていたかの如くです。
この「一度発表した作品をも含め、
自分の作品をその時々の自分の心境に応じて次々改作する。
すなわち自分の作品を『第四次軸-時間座標軸』の上で処理する」というプロセス自体が魅力的でしたし、
若い頃に作られた短歌に
後の童話の素材をいくつも発見し、
そのたびに新しい楽しみを感じていました。
当時、私は、 ある1曲のピアノトリオ(Piano Trio, ピアノ3重奏, ピアノ・ヴァイオリン1本・チェロ1本の3楽器による室内楽) を作曲中でした。
第1楽章はソナタ形式、 以下の主題を持ちます。
第2楽章は緩徐楽章の大きな3部形式です。これについては後述します。
第3楽章には、 第1楽章の主題素材を用いたスケルツォ的な2重フーガ
を置き、 中断無く最終楽章たる第4楽章に突入、 その終楽章は以下のように始まるジーグ風のソナタ形式
で締める・・・
という、 かなり古典的なスタイルです。
そんな時期に遭遇した宮澤賢治。 心酔した私は、 先程の第2楽章に「星めぐりの歌」を取り入れる着想を得ました。
第二楽章は、以下のように始まります。
これが第二楽章の主要主題、 "(A)-(B)-(A)"の三部形式の"(A)"の部分に当たります。 「星めぐりの歌」は、 以下の形で"(B)"の部分に登場させます。 原曲と異なり、むしろ"Andante"ぐらいのテンポです。
ご覧の通り、 チェロの持続低音の上で、 Des-dur(変ニ長調)で「星めぐりの歌」によるカノンが展開されます。 ここの部分ではわざとチェロに「星めぐりの歌」を歌う機会を与えませんでした。
賢治の愛した楽器-チェロ-が「星めぐりの歌」を歌うのは、 第2楽章の最後の部分です。 ここでは、 チェロのソロで「星めぐりの歌」歌わせ、
ご覧のように、 主要主題"(A)"を回想して終わる、 という構想です。
残念ながら、 この曲は未だ未完成です。 着想してからすでに○○年が経過しており、 おそらく今後完成させる予定もありませんでしたし、 曲そのものも私の頭から半ば消えかけていました。
が、 鬱病の中で再び宮澤賢治と再会し、 再び彼の四次元時空概念にハマり、 同時に、 この曲のことを思い出しました。 まるで精神年齢が○○年逆戻りしたかのようです。 そんなわけなので、 私はこのピアノトリオの著作権を放棄しません。 ここまでに示した自作楽譜の転用は禁止とさせてください!(笑) 自分の生きているうちに、 何とかこのピアノトリオ、 完成させて、 「実演」とまでは行かなくとも、 MIDI化ぐらいにはこぎ着けたい、 と思っています。
※脚注1: おおっと、「笹の葉・・・」で始まるチョー有名な童謡、 「七夕さま」(権藤花世・林柳波作詞/下総暁一作曲)を 忘れていたぜ! ま、いっか(爆)。 ちなみにこの「七夕さま」も「星めぐりの歌」と同じ構造の音階・・・ 「ヨナ抜き長音階 (長音階の4番目の音(Fa)と7番目の音(Si)を省いた音階」です。 (・・・というわけで、 この丸印●を 選択すると読みかけの部分に戻ります(^^))
※脚注2:
「韓國(Han-guk)」は対馬の北にある半島・
英語で"Korea"と呼ばれる地域の、
主に南半分で用いられる名称です。
北半分の人はこの名称を好まず、
「Chosun(朝鮮)」の名称を用います("Chosen"ではありません。
"Chosun"です)。
逆に南半分ではこの「朝鮮(Chosun)」の名称はタブーに近い。
南側にも「Chosun ilbo(朝鮮日報)」という新聞社がありますが、
これは例外中の例外です。
この半島の統一をドイツの統一よりも困難にしている理由の1つが、
この「国の名前」の問題です。
(ドイツは東西分裂時でも、
東西共に"Deutscheland"の名称を国に冠していました)
どーでも良いが、
せめて国の名前ぐらい南北合わせてくれぃっ!(叫)
なお、「京畿道」(キョンギド)は、この半島の南半分の地域の
首都(ソウル)を取り囲む行政区分です。
(ソウル市自体は「特別市」で「京畿道」(キョンギド)にはふくまれません。
「道」は日本の「県」に相当する行政区分で、
日本にもありますね「北海道」・・・。
「京畿」は、
日本でも「京」「近畿」「畿内」という
言いかたがあることからも
想像が付くと思いますが、
「都(みやこ)」を意味する漢語に由来します。
・・・というわけで、
この丸印●を
選択すると読みかけの部分に戻ります(^^))
※脚注3: 実際はチェコ語獨特の付加記号が付いた特殊なアルファベットです。 Antonin Dvorakの綴りを画像データで示しましたので、 ご覧ください(ファイル名"Dvorakname.gif"、 ファイルサイズは8.34KB。ブラウザによっては別ウィンドウが開きます) 色んなフォントで示しましたが、 一部余分なデータ(笑)を含みます (・・・というわけで、 この丸印●を 選択すると読みかけの部分に戻ります(^^;))
※脚注4:
Arbert Einsten:
ドイツが生んだ20世紀最大の天才的物理学者です。
ちなみにこの人自身、
音楽と無関係ではありません。
アインシュタインは、少年時代にヴァイオリンを習い、
これを終生愛し続けました。
さらに、
彼の血筋は、
音楽家を生んだ血筋でもあります。
具体的には、
従兄弟(いとこ)の
アルフレッド・アインシュタイン(Alfred Einstein)・・・
この人は有名な音楽学者で、
モーツァルトの研究で名が知られています。
(両方共に"A. Einstein"と記されるので、
しばしばごちゃごちゃになります(笑))
こんな次第なので、
物理学者アルベルト・アインシュタインと
「音楽」
との結びつきは決して浅くない。
私は、
「物理学者アインシュタインの天才的な思考の中に、
音楽的な要素が存在した、
という可能性は、
非常に高い」
と感じます。
なお、
このページの以下の文章では「アインシュタイン」を、
「音楽学者アルフレッド(Alfred Einstein)」
ではなくて
「物理学者アルベルト(Arbert Einstein)」
のほうを指す意味で用います。
ここは「音楽」のサイトなので、
一応こう断っておく必要があるでしょう(^^)
(・・・というわけで、
この丸印●を
選択すると読みかけの部分に戻ります(^^;))
※脚注5: 最初の2つの理論が特に重要で、
これらは近代物理学の根幹を為す物です。
特に現代物理学の最先端である分野、
・「素粒子物理学(『クオーク』とかいった名前を聞きかじったかたもあるかも)」
・「物性物理学(専門外のかたには聞き慣れない名前。
しかし、
『半導体』『新素材』『超伝導』などがこの分野に属する。
そう言う意味では、
『実用度』の最も高い分野でもある^^)」
・「宇宙論(例えば、
『宇宙が膨張している』、
ということは、
まず最初に
アインシュタインの計算から理論的に導き出されたそうだ)」
に対するアインシュタインの貢献の大きさは、
物理を専門に少しかじったかたなら実感を持って感じられることと思います。
無謀ですが、最初の2論「特殊相対性理論」「光量子理論」について、
若干の解説を試みます。(以下の内容は本文とは全く関係ありません。
読みたくない人は、
この丸印●を選択すると、
本文の読みかけの部分に戻ります(^^;))
まず最初の「特殊相対性理論」からいきます。
時速70kmの電車の中で前方に向かって自転車を時速20kmでこげば、
地上に対する自転車の速さは、
「時速70km+時速20km=時速90km」
になります。
逆に、時速70kmの電車の中で後ろ向きに時速20kmで自転車をこげば、
地上に対する自転車の速さは、
「時速70km-時速20km=時速50km」
です。
自然界のあらゆる物がこうした
「速度の加(減)算性」
を持っています。
ところがアインシュタインの
「特殊相対性理論」
では、
「光については、
速度の加(減)算性は成り立たない。
光はどこのどんな場所でも、
移動している物体の中でも、
(ほこりや分子などの邪魔者で散乱されない限り)
一定の速さで進む」
という公理(光速不変の原理)を設定し、
これを元に樣樣な理論を展開していったのです。
これによると、
「時間の進むスピードは、
その時間の存在する空間の移動速度に依存する。
速く移動する空間の中では、
時間の進むスピードは遅くなる。
(よーするに、
『時間の進み具合』
は絶対不変の物ではない)」
「ある物体が速く移動すればするほど、
その物体の長さは縮まり、
質量は増大する。
特に光速で移動する物体では、
長さは『零』になり、
質量は『無限大』になる。
従って我々の通常の加速方法では、
永久に『光速』には到達できない」
等々、
色々面白い現象が説明できます。
(残念ながら、
我々の普段の日常生活で
『我々が動く速さ』、
或いは『我々が動かす大抵の物の速さ』は、
「光速」に比べ、
無視できるほどに遅い。
従って、
こうした現象は日常生活では直接には観測できません。)
ちなみに
「真空中の光速」
(ほこりや分子・
原子などで邪魔されない光の速さ)は、
「物理定数表」によれば、
秒速2.99792458×108(10の8乗)m≒秒速30万km≒時速10億km
です。
さらには有名な
「E=mc2
:
(エネルギー(E:Energy))=(質量(m:mass))×(真空中の光速(c)の二乗)」
という、
「質量とエネルギーの等価則」までたどりつきます。
(この『E=mc2』の公式が、
仏教の
「色即是空、
空即是色」
(形のある物は、
形のない物と同じである、
という意味)に対応して感じられるのが、
私にはとても興味深いです)。
・・・これが「特殊相対性理論」です。
彼はここから更に一般相対性理論、
統一場理論に話を進めました。
2番目の理論は、
手っ取り早く言うと
「波動であるはずの
『光』
が、
あるエネルギーを持った
『粒子』
としてふるまうことがある」
というもので、
今日の「量子力学」の出発点です。
(今日の「量子力学」では逆に、
「あらゆる粒子の実態はある種の『波動』である」
ということになっています。)
我々が扱っているコンピュータの心臓部・・・「半導体」の誕生は、
この
「量子力学」
の存在無しには語ることができません。
「半導体」
の動作原理をどんどんさかのぼると
アインシュタインのこの論文にたどり着く、
というわけです。
(・・・以上、長くなりましたが、
この丸印●を
選択すると読みかけの部分に戻ります(^^))
※脚注6: 確証できませんが、 状況證據を、 「春と修羅・第2集」 に求めることができます。 「春と修羅・第2集」 およびその草稿で、 1924年夏の日付を有する詩の中に 「銀河鐵道の夜」 と同一の単語 ・表現 ・文章が出てくるのです。 具体的には 「薤露青(かいろせい)」 「『北いっぱいの星空に』の下書き」 です。 その周辺の詩も、 「銀河鐵道の夜」を思わせる雰囲気に満ちています。 (・・・というわけで、 この丸印●を 選択すると読みかけの部分に戻ります(^^))
※脚注7: 書いたら年齢がばれちゃうでしょ! さっさとこの丸印●を選んで、 続きを読めっ!(^^;)
※脚注8: 文中の楽譜は "MusicTime Deluxe for Windows 3.1 and 95"((C) 1996 Passport Designs Inc.)にて作成したものを ビットマップ化したものです。